Dry Lab はシミュレータ等の人工物を使用した練習です。Wet Labでは実際に生体組織を使用するため、臨場感のある手技練習が可能ですが、個体差が存在するため、全く同一の組織を活用して練習を重ねることができません。一方シミュレータを活用したDry Labでは、生体組織ほどのリアルな感触をモデルで再現することは不可能です。しかし、Dry Labではモデルの高い再現性、物性の選択的再現が可能であるため、基礎手技の反復練習、手技デザインの確立や、ご自身の訓練効果の確認を目的とした手術スキルの定量評価などが行えます。他にも、適切なモデルを選択することで、手技の術前シミュレーションや、病態組織、脆弱組織における手技を経験することができます。
野球選手として超一流のイチローも、毎日素振りをすると言われております。同様に一流の外科医もその技量を維持するために、毎日手を動かす努力をしているという話がございます。Simulator Training=Dry Labの意義は、「同じ環境」「同じ手技」を反復して練習することで、実際に臨床に出た際に基礎手技に対する「自信」「安定感」を得ることにあります。これにより、臨床現場ならではの様々な問題に対処するための「余力」を身につけることができます。
Dry Labのみで、心臓外科手術をマスターすることは当然に叶いません。しかしながら、現場で必須の基本的手技を圧倒的精度で遂行する能力を身につけることはできます。EBMのDry Labは、全く初めて持針器を握る先生方に、1日も早く臨床現場で執刀できる確実な基本手技習得への道を提供し、その情熱をサポートいたします。